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令和5年度 九州地区現場見学会 開催報告


                 一般社団法人ダム工学会 企画運営員会
                活性化推進小委員会 九州地区連絡会 幹事

 

 ダム工学会九州地区連絡会では、今年度で18回目となるダム見学会を、令和5年9月22日(金)に「河内堰堤」、「五ケ山ダム」、「曲渕ダム」にて開催し、無事終了しましたので御報告致します。

1.はじめに

 ダム工学会九州地区連絡会では、一般・学生の方々、ダム技術者・研究者およびダムファンに、ダム現場見学や講演会の場を提供することにより、ダムに関する基礎知識や情報を社会に広く適切に伝え、ダムに親しんでもらえるようにとの思いから始めました。
 例年、ダム建設現場での見学会を実施しておりましたが、堤体打設などの工事中の対象ダムが減少していることから、本年度は、福岡県の「河内堰堤」、「五ケ山ダム」、「曲渕ダム」の管理ダムにおいて見学会を開催しました。盛況のうちに無事終えることができましたので、以下に実施した概要をご報告いたします。


2.見学会の概要

 ● 見学日時および見学場所
   開 催 日:令和5年9月22日(金曜日)
   場  所:河内堰堤、五ケ山ダム、曲渕ダム

 ● 参 加 者 :21名


 ● 見学会プログラム(当日配布資料)


3.河内堰堤見学

 まずは福岡県北九州市にある河内堰堤を見学しました。河内堰堤では、20分の見学時間で天端、河内公園桜展望台等から各々自由に見学を行いました。

 河内堰堤は、日本で初めての官営製鉄所である八幡製鉄所(現在の新日本製鉄)の製鉄に必要な工業用水を確保するために、1927年(昭和2年)に完成した石張りのコンクリート重力式ダムです。建設には8年の歳月を要しましたが、その間1人の殉職者も出さず、河内堰堤の建設を成し遂げています。現在96年が経過したその石積みの堰堤からは歴史的な美しさと、当時の技術者の巧みな技術と努力が感じられました。

 その後、重要文化財である南河内橋までバスで移動し、河内貯水池に架かる現存唯一のレンズトラス橋の構造を眺めながら歩いて渡りました。

【河内堰堤の概要説明】 【河内貯水池全体案内板】
【天端からの見学】 【取水塔の様子】
【堤体下流面の様子】 【南河内橋の見学】



4.昼食

 河内堰堤見学後、五ケ山ダム周辺にある「五ケ山豆腐」で昼食をとりました。
 「五ケ山豆腐」では、脊振山の清らかな水と100%佐賀県産大豆で作るお豆腐を使った料理が味わえるお店です。こだわりのお豆腐は食べ放題、しぼりたての濃厚な豆乳は飲み放題となっていたため、各自バイキング形式での食事を存分に楽しみました。

【店内とバイキングの様子】



5.五ケ山ダム見学

(1) 五ケ山ダム概要説明および管理所見学

 昼食後、五ケ山ダム管理所へ移動しました。
五ケ山ダム管理所の方より五ケ山ダムの概要説明をしていただき、五ケ山ダムの建設に関する動画を鑑賞しました。
 巡行RCD工法による急速施工により、100m級の堤体を2年弱で打設完了させた工事は圧巻でした。
 その後、管理所内の操作室を見学させていただきました。一般ではなかなかお目にかかれないダムコン、機側操作盤および制御装置類の説明をしていただきました。

【五ケ山ダム概要説明】 【管理所内の見学】



(2)五ケ山ダム見学
 管理所でのダム概要説明および管理所内見学後、五ケ山ダムサイトへ移動しました。
 五ケ山ダムは、福岡県那珂川市に建設された多目的ダムで、堤高102.5m、堤頂長556m、総貯水容量4020万m3の重力式コンクリートダムです。ダム軸の左右岸を下流側に折り曲げた形状となっており、その特徴とダムの規模感などをダムの天端および左岸側から見学しました。


【五ケ山ダム見学】 【五ケ山ダム案内板】
【ダム天端の様子】 【ダム左岸側からの様子】


6.曲渕ダム見学

 福岡市水道局の方より曲渕ダムの概要説明をしていただいた後、ダム天端の見学をしました。

 曲渕ダムは、1923(大正12)年に完成した水道専用ダムです。重力式コンクリートダムで、堤体表面は御影石の布積み、堤体は粗石混じりコンクリートとなっています。1985(昭和60)年に厚生省(現在の厚生労働省)の「近代水道百選」に選ばれ、2009(平成21)年には「福岡市有形文化財(建造物)」に指定されています。また、2018(平成30)年度の土木学会選奨土木遺産として認定されるなど歴史的な構造物となっています。

 その後、下流側にある曲渕ダムパークまでバスで移動し、下流側からダムの見学を行いました。下流堤体面では1934(昭和9)年の人口増加等による水需要増加に伴う拡張工事により嵩上げした跡が見られ、福岡市の水の歴史が感じられました。また、通常ダム見学では、開放していない監査廊(新旧)にも、今回は特別に場長のご厚意で見学させていただきました。

【曲渕ダム概要説明】 【曲渕ダム案内板】
【ダム天端の見学】 【取水設備の開閉装置室の見学】
【ダム下流側からの様子】 【監査廊内の見学】

7.おわりに 

 今年度は、例年とは趣向を変え、既設ダムである「河内堰堤」、「五ケ山ダム」、「曲渕ダム」を見学するコースとしました。

 スケジュールが押してしまったこと、また福岡県内の北東から西への長時間移動となってしまったことにより、参加者の方にはご負担をお掛けしましが、参加頂いた方からは「歴史的な構造物や普段見ることができない場所を見学できてよかった。」「とても貴重な経験をすることができました。」などの心温まるご意見を頂き、有意義な時間を過ごしていただけたかと思います。

 ダム見学会に参加頂いた方々、ご協力頂きました五ケ山ダム管理所の方々、福岡市水道局様、その他関係者各位には厚く御礼申し上げる次第です。

【曲渕ダムを背景に集合写真撮影】


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